通常、遺体は死後、室温の状態に置かれていると急速に腐敗が始まり傷んでしまいますので、葬儀場や僧侶の都合などで長期間おく場合、遺体安置室に安置したり、ドライアイスで低温の状態で保存します。
ただ、海外に搬送したりする必要があるときなどは低温の状態に保つことが難しくなります。こんな時にはエンバーミングすることで長期保存が可能になります。
エンバーミングとは遺体の消毒をしたり、血液や体液、内臓を取り出したりして長期保存を可能にする技法です。
人間や動物の肉体は死後、体内にある自己融解酵素や体の内外に棲息する微生物などによって、細胞レベルで急速に分解が始まり(腐敗)、さらにはこれとほぼ同時進行でクロバエ科やニクバエ科を中心とするハエの幼虫(いわゆるウジ)などの死肉食性の昆虫の摂食活動によって急激に傷んでしまいます。
また、感染症で亡くなられた人の遺体は、接触や遺体から流れ出た体液・腐敗汁などの汚染による感染症の危険性があります。
これを防ぐために、エンバーミングをするわけです。
それでは、エンバーミングとはどんなことをするのでしょうか。
エンバーミングは、エンバーマーと呼ばれる葬儀の専門の技術者や医学資格を有した医療従事者[1]によって、化学的・外科学的に遺体を処理されますが、具体的には次のような方法で行なわれます。
- 遺体の消毒処理、洗浄
- 遺体の表情を整え、必要に応じて髭を剃るなどの処理
- 遺体を切開(主に頸部など)し、動脈より体内に防腐剤を注入、同時に静脈より血液を排出
- 腹部に約1cmの穴を開け、鋼管を刺し胸腔・腹腔部に残った体液や、腐敗を起こしやすい消化器官内の残存物を吸引除去し、また同時にそれらの部分にも防腐剤を注入
- 切開した部位を縫合し、事故などで損傷箇所がある場合はその部分の修復
(切開を行った部分にはテープ等を貼り目立たなくする) - 再度全身・毛髪を洗浄、遺族の希望の服の着付けをし、表情を整え直した上で納棺
○費用は大体15万円~20万円です。
高いと感じるか、安いと感じるかは人によって違いますが、エンバーミングをしたおかげでゆっくりとお別れが出来たり、事故や病気で変わってしまった顔を健やかな顔に整えたりでお金では買えないメリットがあるのではないでしょうか。